歯周病とは?
歯周病の進行形態 |
歯周病は、歯周組織(歯を支えている組織)が侵される病気をいい歯を失う主な原因となっています。原因は、歯の表面に付着しているプラーク中の細菌が歯肉炎の引き金になっています。プラークが付着した状態が長く続くと歯肉が腫れ歯周ポケットができプラークがたまりやすくなります。歯周ポケット内の細菌の毒素により炎症はさらに進み、付着している歯肉は剥がれていき ポケットは深くなって歯槽骨の吸収も進行していきます。しかしこのような状態になってもほとんどの人は自覚症状がないのが普通なのです。これは、歯周病が慢性炎症の病気であるためで、出血がみられたり 歯が動揺しはじめた時は、病気はかなり進んでいます。仕事で疲れたり病気やストレスで抵抗力が低下したときなど、急性化して腫れたり痛みがでてハッ!とする事にもなります。 歯周病を予防していくためには、原因になるプラークを取り除いてあげる事が大切になります。聞かれたことがあると思いますがプラークコントロールです。また、状態に合わせた治療や、予防をしていくために、定期的に検診を受け自分のお口の中の状態を知っておくのも大切です。 歯周病チェック 健康な歯肉は、きれいなピンク色をしていて弾力があります。歯と歯の間の歯肉(歯間乳頭)は、尖った楔状をしています。歯周病は自覚症状が現れにくいとお話しましたが、よく観察してみてください。こんな症状きづきませんか? 歯肉炎(炎症が歯肉のみ) 歯磨きしたとき時々血が出る 歯ぐきに少し赤い部分がある 歯周炎(軽度) 歯磨きするとき血が出る 歯が浮く感じがする 歯ぐきが「むずむず」する 歯ぐきが赤くなっている 歯周炎(中等度) 歯が長くなったような気がする 口臭が気になる 歯ぐきから膿みが出る 物が噛みにくい 歯ぐきが腫れる 歯周病(重度) 歯がグラグラする 口臭がひどい 歯ぐきから膿みがいつも出る ものが噛めない |
歯周病の原因『歯垢』プラークとは?
歯のまわりに付着した白っぽいネバネバしたものを歯垢〔プラーク〕といいます。歯垢とは主に細菌のかたまりです。つまり、単なる食べかすではありません。お口の中には300種類以上の細菌が生息しています。また歯垢1mg中には細菌が約10億個存在するといわれています。この細菌が歯周病や虫歯の原因です。お口の中の細菌は、歯ブラシによるブラッシングや糸を使ったフロッシングによって取り除くことができます。この歯垢のコントロール(プラークコントロール)が、お口の病気を予防・抑制する上でとても重要です。
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歯周病治療の流れ
歯周治療に関する専門用語の解説
日本歯周病学会 歯周治療ガイドラインより抜粋 |
歯周病治療における定期検診の重要性
定期検診(メインテナンス)は、疾患の発症や進行を防止し、健康な状態を長期間維持するために必要であり、このことはある意味では治療以上に重要だといえます。 歯周病の原因菌はバイオフィルムという形で存在していますので、そのバイオフィルムを継続的に破壊・除去する必要があります。バイオフィルムは一度破壊・除去されても、時間が経てば再び形成されます。術前と同レベルに戻るまでの期間は、約3ヶ月といわれています。医院におけるメインテナンス治療では自宅でのブラッシングで届きにくい部位のバイオフィルムの破壊と除去を確実に行なっていきます。またその際、歯周病の状態を調べるための定期的な検査も必要です。 歯周病は静かな病気で自覚症状が出にくいのが大きな特徴です。自覚症状が出たときには手遅れで抜歯になることもあります。そのため歯周病の定期的な検査は非常に大切です。 定期検診で行なう主な処置
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メタボリックシンドロームと歯周病
メタボリックシンドロームは、最近注目されてきた疾患です。特徴は、肥満、高脂血症、高血圧、インスリン抵抗性を合併しているということです。 4つを併せ持つ状態を死の四重奏、シンドロームXと呼ぶ場合もあります。 肥満と歯周病の関連について、20歳から59歳の成人においてBMIが高いほど歯周病の有病率が増加というデータがあります。 体に脂肪が溜まりすぎると、さまざまなサイトカイン(炎症に関わる毒素)が分泌されて動脈硬化を促すというのが、メタボの主要なメカニズムです。 この脂肪細胞から出てくるサイトカインと同じ物質が歯周病でも出てくるため、歯周病がメタボ関連の病気であると考えられています。 対策としては・・・ よく噛んで食べましょう。早食いの人に肥満が多いという報告があります。 ゆっくりよく噛んで肥満解消につなげましょう。 歯周病治療で口の中を清潔に保ちましょう。 |
サポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)とメインテナンス
サポーティブペリオドンタルセラピー(SPT) SPTは歯周治療の一環として重要な治療であり、①歯周病再発の予防,②再発または新たな疾患発症部位の早期発見・早期治療,③良好な歯周組織環境の長期にわたる維持を目的とします。 歯周病治療後、病状が安定したと判定された場合、その状態を長期間持続させるために行う歯科医療従事者による専門的な定期治療であり、歯周治療の予後を良好に保つために不可欠な治療です。1~3ヶ月ごとのリコール時に残存ポケットのデブライドメント(ブラシでは除去できない歯周ポケット内を超音波スケーラーやスケーラーなどを使用しプラーク量や質を炎症が起こらないような環境にしていくこと)や歯周組織検査、う蝕の発生の有無、修復・補綴物や支台歯のチェックなどを行います。また、患者さんのモチベーションが低下しないように指導も行います。 メインテナンス メインテナンスは、治癒した歯周組織を長期間維持するための健康管理であり、患者自身が行うセルフケア(ホームケア)と歯科医療従事者によるプロフェッショナルケア(専門ケア)からなります。 患者さんに対してはプラークコントロールの状態を確認し、その後家庭における毎日の口腔管理の指導を行います。PTCまたはPMTCも重要な位置を占め、プラークの付着しにくい環境の提供とフッ化物塗布などによる歯質の強化をはかります。 |
歯周病細菌叢の構成ピラミッド
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歯周病治療におけるメインテナンスの重要性はこれまでお伝えしてきましたが、今回は歯周病菌の特徴について列記します。 図1は歯周ポケットの細菌と体の免疫細胞との戦いを示したものです。 図2に示す⑤非付着性プラークが図3歯周病細菌叢の構成ピラミッドの赤色の トップ(Red complex)を構成しています。 |
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図3 細菌のピラミッド |
Red complex Pg菌(Porphyromonas gingivalis) 強い悪臭がある 歯槽骨や歯根膜の破壊と溶血 粘膜や赤血球への強い付着能がある Tf菌(Tannerella forsythensis) Pg菌と共存すると歯周炎悪化 酵素を産生 Td菌(Treponema denticola) 炎症を慢性化させる 歯の根元で細菌の巨大なピラッミドが形成される前に、定期的メインテナンスで歯周病と全身疾患の予防をしましょう。 |